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世界が見えるトピックス 開発途上国レポート

 
日本では「コーヒー」や「干ばつ」、「飢餓」といったイメージが強いエチオピア。実は、アフリカの中では、他国の植民地となったことのない数少ない国です。また、アフリカ連合(AU)の本部が首都アディス・アベバに置かれ、アフリカでは2番目に多い人口を抱えるエチオピアは、「貧しさ」と「発展」の両方が混在する国。2007年からWFP国連世界食糧計画のオフィシャルサポーターとして開発途上国を視察している知花くららさんが、今回エチオピアを訪問しました。
知花くらら KURARA CHIBANA
モデル・WFPオフィシャルサポーター。 2006年ミス・ユニバース世界大会第2位に輝き、同大会帰国後、各メディアで活躍。WFP 国連世界食糧計画のオフィシャルサポーターとしてアフリカでの現地視察を行うなど、日本国内で積極的に現地の声を伝える活動を行っている。なんとかしなきゃ!プロジェクト著名人メンバー

 
WFP 国連世界食糧計画のオフィシャルサポーターとして、また、「なんとかしなきゃ!プロジェクト」メンバーとして、開発途上国の現状と支援の必要性を呼びかける活動に取り組んできた知花くららさん。6月に横浜市で開催される第5回アフリカ開発会議(TICAD V)を控え、あらためてアフリカの現状や、今何が必要とされているのかをまずは自分の目で確かめたいと考えた知花さんは、エチオピアに旅立ちました。エチオピアが抱える問題、その原因、エチオピア人の挑戦、そして子どもたちの夢と未来。色々と知りたいことを抱えての訪問です。
エチオピアは、「アフリカの角」地域(※1)の中心に位置する人口約8,500 万人の大国です。2004年以降継続して7%以上の高い経済成長率を維持しているものの、天水に依存した小規模農業や未熟な製造業、対外借り入れの増加など経済基盤が未だ脆弱で、一人あたりの国民所得(GNI)は400 米ドル(2012 年)と他のアフリカ諸国と比べても低い所得水準です。更に、度重なる干ばつの影響から慢性的に食料が不足している地域もあり、安全な水の供給も十分ではなく、未整備な社会インフラのため都市と農村に格差が生まれ、特に農村では教育・保健を含む社会サービスの未整備などの課題もあります。

※1:「アフリカの角地域」とは、インド洋と紅海に向かって“角”の様に突き出たアフリカ大陸東部の呼称で、エチオピア、エリトリア、ジブチ、ソマリア、ケニアの各国が含まれる地域
ethiopia_map.jpg
経済
1.主要産業 農業(コーヒー、メイズ、テフ、ソルガム、大麦等)
労働人口の約80%が従事、GDPの45%
2.国民総所得(GNI) (2010年:世銀) 324.1億米ドル
3.一人当たりGNI (2012年:世銀) 400USD (サブサハラアフリカ平均 1,255USD)
4.経済成長率 (2010年:世銀) 10.10%
5.物価上昇率 (2009年:世銀) 24.20%
6.失業率 (2009年:世銀) 20.50%
7.総貿易額 (2010年:世銀) 輸出:4,652.58百万米ドル
輸入:9,982.68百万米ドル
8.主要貿易品目 (2009年:世銀) 輸出:コーヒー、油料種子
輸入:石油、穀物・穀類
9.主要貿易相手国 (2008年:世銀) 輸出:米、独、サウジ、蘭、ジブチ
輸入:中国、サウジ、印、米、伊
10.通貨 (2013年4月) ブル(BIRR)/ 1米ドル=18.57ブル
開発
1.主な指標
貧困率 (2011年:世銀) 29.6%
人間開発指数 (2011年:UNDP) 174位/187国中
ジニ係数 (2005年:世銀) 0.3
栄養不足人口率 (2006-08年平均:FAO) 41% サブサハラアフリカ平均27%
水へのアクセス率 (2008年:WHO/UNICEF) 38% 農村部26%、サブサハラアフリカ平均60%
初等教育就学率 (2008/09年:エチオピア) 94.2%
2.貧困削減計画(国家開発計画)
2002-05年 SDPRP(Sustainable Development and Poverty Reduction Program)
2005/06-09/10年 PASDEP(Plan for Accelerated and Sustained Development to End Poverty)
2010/11-14/15年 GTP(Growth and Transformation Plan)
3.主要援助国(2005年 単位:百万ドル)
米:726.04、英:342.92、日:97.76、加:87.18、蘭:85.90
 
chibana_report_ph1.jpg 国連WFP学校給食プログラムで給食の配膳をお手伝いする知花さん

子どもたちに給食を

国連WFPの学校給食プログラムは、途上国の学校で栄養価の高い給食を提供するというもので、子どもたちの健全な発育を助けると同時に、就学率・出席率の向上につながっています。学校給食は、子どもを毎日学校へ通わせる重要なきっかけとなりますし、お腹を満たすことで、子どもは学習に集中できるようになるという効果があります。知花さんが視察するために訪れたミダッジ小学校では、生徒たちが歌と踊りで大歓迎。この学校では約800人の生徒が学んでいますが、教室の部屋が足りないため、午前と午後に入れ替えて授業しています。この日は午前の部の200人の生徒が勉強していました。生徒が授業に取り組んでいる間、お母さんたちは給食をつくり始めました。場所は教室の裏にある小さな「小屋」。この小さな部屋で2つの大釜で煮炊きするため、中は暑く、煙も立ち込めています。この日のメニューはトウモロコシと大豆の粉を水に溶いて少々の油と煮込み、塩で味付けしたお粥のようなもの。ビタミン・ミネラルで強化された、栄養たっぷりの給食です。知花さんも給食づくりと配膳を手伝いました。
給食を頬張る生徒たちに将来の夢を聞く知花さん。「学校の先生」「お医者さん」など、皆、夢を話します。「食糧支援が必要なくらい色々な問題は山積しているけれど、学校に来ることで子どもたちが夢を育める。そこに沢山の可能性を感じます。」と知花さんは語りました。
chibana_report_ph2.jpg 青年海外協力隊の幼児教育として派遣されている清水さんの話を聞く

お遊戯や歌を使って

また、首都アディス・アベバのアンディネット幼稚園で活動する青年海外協力隊の清水さんを訪問。日本では集団遊びを通じた様々な学びの場を子どもたちに提供して、健全な成長と学ぶ力を育みますが、エチオピアではそういった取組みは無視されがちで、幼稚園から詰め込み教育が行われるのが普通です。知花さんが訪問した時にはちょうどお遊戯をしている最中。知花さんも子どもたちの輪の中に飛び込みました。協力隊員の清水さんは、日本の歌も使って、子どもたちの「学ぶ」ことへの興味・関心を向上させ、またお遊戯を通してルールを守ることなどを伝えていました。同僚の先生方も当初は驚いていたようですが、こういった指導方法が子どもたちの教育に効果があると分かってからは、積極的に清水さんからノウハウを学ぶようになりました。

参考:国連WFP 学校給食プログラム 
http://ja.wfp.org/activities/hunger/school-meals
 

母子の栄養不良に対応

2月のエチオピアは乾季の真っただ中。アディス・アベバから約1時間の飛行を経て、降り立った北部の街ラリベラ。空港から訪問先までの約2時間はほとんどが未舗装道路です。土煙を舞い上げながら進む我々の脇を、多くの村人が歩いて移動していました。国連WFPは、「栄養支援プログラム」をエチオピアで実施しています。エチオピアでは生まれてくる赤ちゃん1000人のうち106人が5歳の誕生日を迎える前に亡くなっています。その死の6割近くは栄養不良が原因です。これに対応するため、国連WFPはUNICEFとエチオピア政府と共に、5歳未満の中程度の栄養不良の子どもや、妊婦、授乳中の母親を対象としてこのプログラムを実施しています。
知花さんが訪れたのは、エチオピア北部のメレイ地区にある保健所。そこではちょうど赤ちゃんの定期検診が行われていました。体重測定のためタライに乗せられた赤ちゃんは皆大声で泣いています。そのうちの一人の赤ちゃんは先月から体重が全く増えておらず、お母さんは3ケ月分の栄養強化食品を受け取りました。
chibana_report_ph3.jpg WFP栄養改善プログラムで子供の定期検診に訪れた女性の話を聞く知花さん

地域ぐるみで栄養改善

JICAも母子を対象として、栄養改善プロジェクトを実施していますが、ここでは地域のコミュニティが自立的かつ持続的に栄養改善に取り組んでいけるよう、地域の発展と結び付けた活動を行っています。中心となっているのは地元のお母さんグループ。地域で手に入る穀物をブレンドし栄養補助食材を作り、子どもの定期検診で近隣の村落を訪問する保健員と共に出かけ、そこで栄養補助食品を使ったクッキングデモンストレーションを行い、その後、その場で販売します。原料は地元で安く手に入るものですので、市販のものより安く販売でき、その売上の一部を次の原料を買うのに役立てています。また、お母さんたちは、この活動のため、帳簿の付け方や利益の活用方法などについてマイクロファイナンスを扱う地元の機関に相談したり、また地域の発展の面から村長さんや地域の自治体、農業開発普及員とも連携して活動しています。地元の村長さんも、お母さんグループの活動が地域の活性化に役立っていると話していました。
知花さんは国連WFPやJICAの活動を視察し、貧しいながらもお母さんが中心となってしっかりと子どもたちのために頑張っている姿に励まされたようです。
chibana_report_ph4.jpg JICA母子栄養改善プロジェクトで栄養強化食品を作る女性グループを訪問
 
chibana_report_ph5.jpg 日本のNGOフー太郎の森基金による植林活動でラリベラ小学校を訪問しました。環境クラブには沢山の児童が参加していました
エチオピア北部に位置するラリベラは人口2万にも満たない小さな街ですが、エチオピア正教の聖地で、巨大な一枚岩を彫りぬいて作られた岩窟教会群は世界文化遺産にも登録されています。この街を中心に、特定非営利活動法人「フー太郎の森基金」が植林活動を続けています。きっかけとなったのは、フー太郎の森基金の理事長、新妻さんが、1994年にエチオピアを訪問した際に一緒に旅をすることになった「フー太郎」という名前のふくろう。紆余曲折を経て、ふくろうが戻れる森を取り戻すため、植林活動や、ため池を作る活動をJICAの支援も受けつつ実施しました。

知花さんは、基金が地元の人たちと一緒に行ってきた植林活動で緑を取り戻しつつある「Flower Forest」を視察し、その後、活動拠点の一つラリベラ小学校を訪れました。基金は、「木を植えること自体は難しくない。それをどう《根付かせるか》が問題。そのためには教育が不可欠」という考えのもと、ラリベラの街にある学校に「環境クラブ」を作り、植林を通じて環境教育を行ってきました。知花さんもこの日は環境クラブに所属する生徒たちと一緒に植樹。生徒の一人は「クラブが大きくなってエチオピアが緑に覆われ、地球温暖化が無くなってほしい」と話していました。これには知花さんも感心することしきり。教育の大切さを改めて痛感していました。
 

エチオピアで「カイゼン」

乳幼児や妊産婦の栄養不良、森林伐採等エチオピアが抱える問題は多い一方、日本の手法を手本に、成長を夢見ている人たちもいます。知花さんはJICAが実施する「カイゼンプロジェクト」を訪問しました。「カイゼン(改善)」とは、ものづくりの現場で品質や生産性を上げる取組みで、日本では自動車産業が中心となって広まってきました。この「カイゼン」をエチオピアに導入するために強く日本に働きかけたのが故・メレス前首相。その結果、2009年にJICAプロジェクトが開始され、2011年には「エチオピア・カイゼン機構」が設立されたのです。このような「カイゼン」を主目的とし、組織名に「カイゼン」を掲げる政府機関が誕生したのは世界でもエチオピアが初めて。知花さんはそのトップであるゲタフン所長にインタビューしました。「カイゼンはフィロソフィー(哲学)。私はカイゼンが好き(like)なのではなく、愛している(love)んだ」と力説する所長に、知花さんも日本の「カイゼン」が現地に根付きつつあることを実感したようでした。

また、1ケ月前に「カイゼン」を導入したプラスチック工場も訪問。カイゼン導入前は機材や工具が散乱していたのが、1ケ月でかなり整理され、綺麗に。工場の製造マネジャーは「数ケ月で劇的な変化を望める」と自信をのぞかせていました。JICAの専門家も「カイゼンの重要性は上からの指示ではなく、現場で問題を話し合って、みんなで考えて改革すること。メンタリティが変わることが大切。エチオピア人は素直で、非常に真面目。専門家が提案したことをよく実践している。」と語ってくれました。
chibana_report_ph6.jpg JICAカイゼンプロジェクトを訪問。マネージャーの話を聞く

エチオピアの「チャンピオン商品」

エチオピアが現在取り組もうとしているのが「チャンピオン商品」アプローチの実践。これは、エチオピア原産で、高品質、エチオピアに対して良いイメージを連想させる地場産品を開発し、輸出促進を行うためのコンセプト。その中でも有力商品であるエチオピアンドレスを作るデザイナー、フィクルタさんに会いました。二人の子どもを育てながら、伝統的なエチオピアの素材からモダンなドレスを生み出す彼女に、エチオピアにどのような国になってほしいかを尋ねた知花さん。「エチオピアには愛すべき思いやりのある人がたくさんいて、多くを分かち合っている。だから、エチオピアの人々が幸せで、健康で必要最低限のものを持てるよう願っている。生きるためにたくさんのものを持つ必要はないから。私たちはもっと素晴らしくなれるし、たくさんのものを世界に届けられるはず。そしてエチオピアは、数十年後にはもっと素晴らしい場所になれるはず」と自分の生まれ育った国を愛し、その将来に対する熱い思いを語り思わず涙するフィクルタさんに、知花さんも心が揺さぶられたようでした。

エチオピア発の商品は5月30日から6月10日まで、東京渋谷の東急百貨店東横店西館1階SHIBUYAスクランブルIで販売されます。東京近郊に在住の方は、是非一度足をお運びください!
chibana_report_ph7.jpg 女性企業家のフィクルタさんの自宅兼工房を訪問し、話を聞く
 

知花くららさんのエチオピアレポート 未公開シーン

 

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