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世界が見えるトピックス 開発途上国レポート

永島昭浩さんのレポート~地震から立ち上がるネパール 日本が広げる「より良い復興」~

ブラジルと日本。遠くて近い両国の繋がり

世界各国が取り組む世界遺産の復旧

ネパールは年間80万人近くの観光客が訪れる、観光業の盛んな国です。その観光の目玉となるのが、8,000メートル級の山々が連なるヒマラヤ山脈をはじめとする美しい自然、そして首都カトマンズを中心に各地に広がる旧王宮の文化遺産で、多くは世界遺産として登録されています。ネパール国民にとって、重要なアイデンティティであり、精神のよりどころだったこれらの文化遺産も地震の被害を受け、中には全壊してしまった建物もあります。

左:現在の王宮広場。また復旧作業が始められていない建物も。右:文化遺産の瓦礫の前では普通に生活が営まれています左:現在の王宮広場。また復旧作業が始められていない建物も
右:文化遺産の瓦礫の前では普通に生活が営まれています
中心部の被害を実際に見て、永島さんの表情も変わりました中心部の被害を実際に見て、永島さんの表情も変わりました

現在この広場周辺の文化遺産は、ネパール政府の依頼を受け、アメリカ、中国、日本等がそれぞれ復旧作業を進めています。日本が担当するのは、三重の塔「アガンチェン寺」。「復旧には、まず建物の歴史と当時の建築方法をよく理解することがとても重要です。」そう説明するのは和歌山県文化財センターから派遣されたJICA専門家の多井さんです。

左:日本が担当するアガンチェン寺。このエリアで最も古い建物の一つ 右:  
(写真)土台となる建物の壁が内側からせり出て崩れていました。左:日本が担当するアガンチェン寺。このエリアで最も古い建物の一つ
右:土台となる建物の壁が内側からせり出て崩れていました

プロジェクトでは、塔の土台となる三階建ての王宮の修復に向け、三重塔の上部分を浮かせて作業ができないか検討を進めていました。「今調査を進めているところです。日本では、天守閣を浮かせて土台を修復するといった、修復技術があるんですよ」。気の遠くなるような調査と準備が必要となる修復作業。しかしその場限りの修復にしないために、慎重に作業にあたることが重要と多井さんは指摘します。修復作業は、文化遺産の再建を担当するネパール政府考古局の能力強化にもつながっています。一連の作業を共に行い、多くの記録を残し、災害発生時に彼ら主導で修復作業を出来るように・・・。日本の経験・優れた技術へのネパール政府の熱い期待に応えていく、日本のプロフェッショナルがネパールの現場にいました。

持ち主が自ら建てる耐震住居 公共施設の再建で生活も速やかに復旧!

ネパール大地震では、2015年4月25日に1回目の本震が北西部ゴルカ郡で発生(M 7.8)、そして17日後に東部で大きな余震(M7.3)が発生しました。永島さんが訪れたのは、余震で被害を受けたシンドパルチョーク郡にある農村地域。ここではレンガ造りの住宅に耐震構造を取り入れた新しい住居が、各住居の持ち主によって建てられ始めていました。
地震で被害を受け全壊した家屋50万戸のうち95%が石を泥で重ねただけの伝統的工法で作られた住居だったため、震災後ネパール政府は地震に強い構造を取り入れた住居建設を推進。JICAのプロジェクトでは地域住民への技術指導を行っており、地震に強い構造を取り入れた住居を建てると、住民は住宅復興資金が受けられる仕組みです。

今年で60周年を迎えるブラジル埼玉県人会の尾崎会長と左:地域住民が協力し合い家を建築中
右:重ねたレンガの間に、コンクリートの段を重ねていきます
「家族みんなが新しい家に満足しています」「家族みんなが新しい家に満足しています」

「JICAの支援対象世帯は54,000世帯ですが、現時点ではその内20,000世帯が住宅再建を開始しています。地震に強い住宅の再建には、ますは住民への啓発活動や石工へのトレーニングが必要であり、そのため時間もかかり思い通りに進まない部分もあります。しかし、ネパール政府もこれらの活動の重要性を理解しており、政府と共に一歩一歩復興を進めていきます」。JICA専門家の宮野さんが説明します。完成した住居の住民は、「今は安心だし、前よりも良い家が出来たことがとても嬉しいです。グループで協力することも教わりました。」と永島さんを新居へ迎え入れてくれました。家を与えるだけではなく、住民は耐震技術を学び、さらに協働の大切さも身に付けています。

その他にも、JICAは現在までに震源地のゴルカ郡、シンドパルチョーク郡の両地域において20以上もの公共施設を再建しています。永島さんは再建された郡農業開発事務所、女性子供センター、そして建設中の種子貯蔵庫を見学しました。公共施設を再建し、被害を受けた住民への公共サービスの復旧が目的です。また再建した施設で、地域住民の生計回復につながる支援―野菜栽培や家畜飼育のトレーニング、種子の栽培支援等も実施しています。このように建物等の「ハード」を与えるだけではなく、その後の持続的な発展を目指した人材の育成、「ソフト」の投入が、日本の協力の特徴です。

ブラジル山形県人会にて、篠原会長ら日系一世の方々と左:再建された事務所には日本の国旗が 
右:建設中の種子貯蔵庫でプロジェクト総括の小林さんから説明を受けました

新しい家を手にいれた、新しい技術を手にいれた、住民の皆さんの満足そうな笑顔に沢山出会いました。この笑顔がもっと広がることを期待して、次の取材に向かいました。

子どもたちに「防災」の概念を

「きーた、きーた、何が来た?」「地震!」
この合図で子供たちが一斉に机の下にしゃがみ込みました。活動先の小学校で歌いながら防災啓発をしているのは青年海外協力隊の廣瀬瞳美さん(職種:青少年活動)です。

二度の地震で、ネパール国内の学校施設は甚大な被害を受けました。全壊あるいは大きな被害を受けた教室の数は31,000教室以上。今も竹やビニールで作った仮設の教室で授業を実施している学校が多くあり、廣瀬さんの教室もその一つ。日本は、被害地域の学校施設の再建、建物の耐震度強化を進めると同時に、地域住民、そして子供たちへの防災に対する意識を高める取り組みも行っています。廣瀬さんの歌声に合わせ、子どもたちは楽しみながら防災の知識を深めていました。
「全校生徒が、決して面白おかしく行動することなく冷静に取り組んでいる。低学年の子供達は、大地震を思い出したからなのか、泣きだすのが心に響くね。」と永島さん。

数か月ぶりに抜き打ちで避難訓練も実施。おしゃべりもせず、静かに校庭に集まる生徒たち数か月ぶりに抜き打ちで避難訓練も実施。おしゃべりもせず、静かに校庭に集まる生徒たち

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