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世界が見えるトピックス 難民問題学生レポート

「笑顔」を生み出すスポーツの魅力~難民キャンプでスポーツを行う意味とは~

「笑顔」を生み出すスポーツの魅力~難民キャンプでスポーツを行う意味とは~

学生レポーター 松本和也

取材者:学生レポーター 松本和也

ヨルダンの首都、アンマン旧市街の風景

ヨルダンの首都、アンマン旧市街の風景

「難民」と聞くと、食料を追い求めている人びとの様子、そして、国境を越えて、紛争から逃れる人々の様子が思い浮かぶのではないでしょうか?
 「たしかに、食べ物や水が十分にないなど、厳しい生活状況があるのは事実です。しかしながら、ここで強調したいのは、そのような中でも彼らは、「同じ人であること」です。知られざる現地の人々は、私たちと同じことで悩み、苦しみ、笑う人々がそこにいるということです。どの国の人々もそれなりに困難を持っている、だからこそ「難民だから」ではなくお互いの困難を解決するための「助け合う」姿勢がグローバル社会の中では大切なのではないでしょうか。」
 そう語るのは2015年9月から半年間、ヨルダン国内にある難民キャンプで青年海外協力隊員として活躍したKさんです。Kさんは、高校時代の恩師が青年海外協力隊経験者であり、学生時代にスポーツを手段とした教育に触れたことから、「スポーツの可能性」を感じていました。そして、これまでKさん自身がお世話になった「スポーツ」への恩返し、さらには自分の経験を難民キャンプで暮らす人たちに届けたい思いで活動に参加したそうです。
今回は実際に難民キャンプでサッカーやバレーボール、「タグラグビー」といった様々なスポーツ活動を行った経験から感じたことを伺いました。

衣食住だけではない難民キャンプの抱える課題

まず、スポーツによる支援は緊急援助ではありません。食べ物や、水の入手が困難にある状況下でスポーツを支援の手段として押し出すことはできません。しかし、物的余裕がある程度作り出されたとしても、人々に「余裕」というものが生まれるものではないということを現地で感じました。実際、難民キャンプに来る子どもたちは、紛争体験を背負った人々であり、心に大きな課題を抱えていました。
閉鎖的な難民キャンプは閉鎖的な環境を作り出し、人の行動を制限し、人と人とのつながりを阻害します。家族同士が離れ離れに生活することも多いです。そのような状況下で、特に子どもたちは、心の課題が表出します。PTSD(心的外傷後ストレス障害)の兆候が子どもたちに多々散見されるのもそれです。そこで必要なものが「心の余裕」です。

アンマン旧市街を見渡せる丘より

アンマン旧市街を見渡せる丘より

「心の余裕」を生み出すスポーツの力

難民キャンプで、子どもたちの心のよりどころとなるのは、サッカー!

難民キャンプで、子どもたちの心のよりどころとなるのは、サッカー!

この部分に、スポーツはアプローチできると私は感じています。スポーツが「教育」の手段となろうとも、スポーツはあくまでも「余暇」があってこそできるものです。どんな人々にも余暇は必要ではないでしょうか?それは貧困地域でも、難民キャンプであっても同じです。「なぜ、医療機関も水も食べ物も十分でないのにスポーツか」という疑問に対して、そこに住む人が私たちと同じ人であるならば、スポーツの価値はそこにはあります。スポーツが人々の「心の余裕」を作り出すのです。
 スポーツは楽しいものです。みんな「笑顔」になっていることからも、楽しいことであることが伝わります。もちろん、音楽をしていても笑顔になれます。ではスポーツである特異性は?となると、友達と体を動かしながら「笑顔」になれる部分だと思います。「心の余裕」とは、人一人の力では創ることができず、他者との関わりや、協働など、人と人とのつながりの中から生み出されるものです。そのつながりの中にある「共感」「感動」が、スポーツの生み出す「笑顔」の根源になるものであると思います。

活動の難しさや今後の課題

地方都市にて、難民の子どもたちが遊ぶ様子

難民問題の解決には、大前提として、戦争が終わらないといけない。しかしたとえ終わっても、根本的な解決には時間がかかる場合もあるのではないかと感じています。現地で活動していて感じることは、簡単な解決の糸口はないということです。難民キャンプの中ではなく外にある問題があまりにも多すぎるのです。ただ、先進国が難民問題の解決に果たす役割は大きいと感じています。そこに私たち日本も含まれています。世界の富は有限です。自分だけ、日本だけの意識では、難民問題は解決しないと思います。

◎青年海外協力隊について
https://www.jica.go.jp/volunteer/application/seinen/