• なんプロとは?
  • 世界が見えるトピックス
  • なんプロサポーターの活動
  • 学生レポーター発信中!
  • アクションから選ぶ
  • メンバー団体情報
  • メルマガ登録

世界が見えるトピックス 特集

綺麗な水で笑顔がはじける 前編 ~国際NGOウォーターエイドジャパン~

「世界が見えるトピックス」では、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals:SDGs)に注目していきます。今回は、SDGs目標6「安全な水とトイレを世界中に」を詳しくご紹介。
「すべての人々が清潔な水と衛生を利用できる世界」を目指して活動する国際NGOウォーターエイドジャパン事務局長の高橋郁さんにインタビューし、途上国の水とトイレをめぐる課題やウォーターエイドの活動、今後の展望についてお話を伺いました。こちらの記事は、セカイプラス「MISSION17」企画第2弾とも連動。

 

やついいちろうさんと高橋事務局長の対談はこちら▼
http://nantokashinakya.jp/sekaiplus/vol03_mission17/02/

 

 

ウォーターエイドジャパン 高橋 郁 事務局長

―はじめに、水とトイレをめぐる世界の現状を教えてください。

年々、徐々に改善はされてきてはいますけれども、現在でも、世界には、約8億4,400万人の清潔な水を利用できない人々が存在します。そして、適切なトイレを利用できない人々が約23億人。これは世界人口の約3分の1に当たる数字です。

WaterAid/ Abbie Trayler-Smith

―水やトイレのない国では具体的にどんな問題が起こっているのでしょう?

たとえば、マダガスカルの例ですと、少女たちは水を手に入れるために毎日、徒歩で往復1時間かかる場所まで1日5往復、20リットルのポリタンクを抱えて水を汲みに行っています。それだけ多くの時間とエネルギーを費やすと、学校に通うことは難しいですよね。つまり、水が手に入りづらいことによって、十分な教育を受けることができなくなっているわけです。そして、それはそのまま、彼女たちが貧困から抜け出すのを阻害する要因にもなっています。
トイレがないことによって発生する問題は、第一に病気のリスクです。適切に処理されない排泄物に含まれる菌が体内に入ってきてしまうことで引き起こされる下痢によって、毎年数十万人の子供たちが命を落としています。
また、家にトイレがないために、女性や女の子たちは暗くなるのを待ってから、用を足すための場所を探します。そうすると、襲われたり、レイプされたりする危険が高まるわけです。そのため、女性はとくに、回数を減らすためにトイレを我慢したり、食事の回数を減らしたりすることもあります。
―そうした現状に対して、ウォーターエイドさんは具体的にどのような活動を展開されているのでしょうか?
私たちは、そうした地域にそれぞれの事情に合った給水設備や衛生設備を、現地のパートナーや地元の方たちと協力しながら設置しています。加えて、それらの設備を長く維持管理していくための体制づくりや設備の修理、水源管理のための研修、さらに、適切な衛生環境を保つための衛生教育などにも力を入れています。結局、綺麗な水と清潔なトイレを使える設備だけできても、手洗い等の衛生習慣を身につけなければ、なかなか健康には繋がりませんから。必ずそれらすべてをセットで進めているんです。
―ウォーターエイドさんは、日本以外にもさまざまな国に拠点があるんですよね。
世界34ヶ国で活動しています。日本を含め先進国で構成される「メンバー国」7ヶ国が、各国で資金集めをしたり、政府に対して「水と衛生」に注力するように働きかけるロビー活動を展開したりする拠点となっています。そして、「活動国」、つまり、水とトイレを必要としている国々から必要な情報をもらいながら、実際の支援活動を行なっています。

WaterAid/ Mustafah Abdulaziz

―日本での反応はいかがですか?

実は日本政府は、途上国向けの水・衛生分野の援助における最大拠出国なんです。ウォーターエイドが2012年に調べたところ、全体の半分を占めていました。しかも、援助総額における水・衛生分野の割合も他国に比べて高いので、日本政府はこの課題を非常に重視していると感じています。
―途上国側にとっての水・衛生分野の優先順位はどうでしょうか?
2016年に開催された国連のハイレベル政治フォーラムで、様々な国が、自国のSDGsへの取り組みを発表した際、水・衛生分野は必ずしもプライオリティが高いものではありませんでした。また、少し古いですが2009年にウォーターエイドが実施した別の調査でも、私たちが活動する国において、保健分野、教育分野、水・衛生分野それぞれの予算のGDP比を調べた結果、圧倒的に水・衛生分野が少なかったという現状はあります。
―そうした現状にどのような対策をとっているのでしょうか?
私たちとしてはもっと、水・衛生分野が、「保健」や「栄養」、「教育」といったSDGsの他のゴールに影響していることを具体的な数値で示さなければいけないと考え、その調査を進めています。つまり、単純に、「人間が健康に生きるためには安全な水が必要です」と訴えるだけではなくて、たとえば、水・衛生分野の影響で、学校に通えない子供たちが何割存在する、といったデータや、水・衛生の改善によって、ある地域で下痢になる確率がどれだけ減少した、といったファクトを明示することが必要だと考えているわけです。近年、特に注目しているのが、ゴール2の「栄養」との関連性です。どれだけ栄養状況を改善したとしても、水・衛生分野への対策が不十分であれば、下痢によって体がそれを吸収できず、食べたもの全てが排出されてしまいます。そうした事実はまだなかなか認識されていないので、きちんと調査して結果を示していきたいです。
―水・衛生分野は、SDGsの様々なゴールと密接に絡み合っているんですね。
SDGsはすべて影響し合っていると思います。「水・衛生」が無ければ「教育」の達成が難しいのと同時に、「教育」が無ければ「水・衛生」も達成できないといったように。だから私たちも、「他のゴールを差し置いて水・衛生を!」ということではなくて、全体を達成するためにも水・衛生は欠かせませんよ、という姿勢で活動しているつもりでいます。

 

 

 

 

 

関連トピックス