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世界が見えるトピックス 特集

チャレンジに失敗はない なでしこジャパン佐々木則夫前監督が語るジェンダー

2011 FIFA女子ワールドカップ ドイツ大会で世界一の栄冠に輝き、翌2012年ロンドンオリンピックでは銀メダルを獲得……なでしこジャパンを世界のトップチームに育て上げた名将佐々木則夫さんは、なんとかしなきゃ!プロジェクトのサポーターとして、昨年、ブラジルを訪問するなど、国際協力の分野においても積極的に活動されています。

 

 

 

 

 

ブラジルサンパウロでは、プラン・インターナショナルの運営する、貧困地域に暮らす子どもたちのための施設を訪問(2017年9月)

3月8日の国際女性デーに合わせて開催されたトークイベント「今、男性ができること。女性の可能性は無限大」(主催:プラン・インターナショナル・ジャパン」)では、国際協力・ジェンダー専門家でプラン理事 大崎麻子さんを聞き手として、佐々木さんが男性リーダーの目線から、女の子や女性がリーダーシップをとっていくために必要なエンパワーメント、そして「ジェンダー平等の実現」についてお話しされました。

 

国際女性デーは、女性に対する差別撤廃と、女性の社会開発への完全で平等な参加に向けた環境整備を目指していくことを目的に定められた記念日。ジェンダー平等については、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals:SDGs)の目標5に定められるなど、解決すべき問題として、近年ますます関心が高まっています。それを証明するかのように、イベント当日、オープンスペースの開放感あふれる会場には、定員いっぱい、約80人の聴衆が集まりました。そのほとんどが女性……かと思いきや、男性の姿も多数見られたのが印象的でした。

 

大きな拍手に迎えられたお二人。
トークに先立って、プラン・インターナショナルが、ガーナで展開する「女の子のサッカープロジェクト」の動画が上映されました。
■動画リンク(https://www.youtube.com/watch?v=qBqyj-TGk6E

 

サッカーを通じて、女の子に教育や職業訓練を提供するこの手法について、佐々木さんは次の3つのことが学べると解説します。
・ゴールという目標のためにみんなでプレイできる楽しさ
・練習によって、それまでできなかったことができるようになる楽しさ
・体を動かす楽しさ
サッカーの持つ力を活用したプロジェクトのさらなる拡大に期待を寄せる佐々木さん。現地視察への意欲も示します。

 

話題は日本のジェンダー問題に。大崎さんから、「女性の力を伸ばすにはどうすればいいのでしょうか?」という質問が飛ぶと、女性が結婚したときや出産したときの環境的なサポートが必要としたうえで、女性一人一人の意識も重要だと語ります。
「女性自身が、もっと成長していくんだ、社会に関わっていくんだ、活躍するんだという思いを持つことも必要です」 なでしこジャパンの澤選手たちは、世界大会で活躍するんだ! という確固たる思いを抱いていたとともに、サッカーをしている少女たちのためにも頑張って、自分たちが後輩のロールモデルになりたいと強く願っていたそうです。「女の子がサッカー?」と言われる状況を変えるために。

 

ただ、なでしこジャパンのメンバーたちも最初から自信を持っていたわけではなかったようです。2008年に開催された北京オリンピックの一ヶ月前。ベスト4を目標に掲げたチームは、記者会見に臨みました。順調な調整に満足していた佐々木さんは、メダルを獲れる可能性はかなり高いと宣言します。ところが、会見後の控え室で選手たちから出てきたのは、こんな言葉でした。
「のりさん、そんな甘いもんじゃないから」
非常に好調なチーム状態だったにもかかわらず、自信を持てない彼女たちに佐々木さんは不安を覚えたそうです。それからの一ヶ月は、彼女たちをとにかく褒め、激励することにしました。迎えた本番。
「初戦で格下のニュージーランドに後半途中まで0-2。万事休す、というところから彼女たちは追いつきました。次の対アメリカは、敗れたものの善戦した。そして、最終戦。二連勝で勢いに乗るノルウェーを相手に、二点差以上がグループリーグ突破の必須条件だったという状況のなか、5-1で勝利したんです。まさしく、そこで彼女たちに、自分たちにはできるんだ、という自信が生まれたような気がします。そこから、日本サッカー40年ぶりのベスト4進出という結果が生まれた。そうしたら彼女たち、今度はワールドカップのチャンピオンを目指すと言いはじめて(笑)」
そのときの成功体験がきっかけで、その後のなでしこの快進撃が生まれたという大きなストーリーに、観客は聞き入りました。
大会前、選手たちを褒め続けたことも成功の要因だったのではないかと指摘する大崎さんにたいして佐々木さんは、スポーツに限らず、なにごとも反省から入る日本人の傾向を挙げ、もっとポジティブにアプローチすべきだと主張します。2011年、宿敵アメリカとのワールドカップ決勝戦。二度リードされ、追いついた末突入したPK戦を前に、佐々木さんは選手たちにこう言って聞かせたといいます。
「お前たち、よく追いついたな。すげえな。いいよ、PKで負けたって」
その言葉を聞いた彼女たちはみな、リラックス。ニコニコしていたそうです。
結果は、私たちの知るとおりです。

 

ワールドカップ優勝後のなでしこフィーバーについて、大崎さんが気になっていたのは、彼女たちに向けられたメディアの姿勢でした。男子選手には絶対に尋ねることのない、たとえば、「得意な料理は?」といった質問をする記者たちに、大崎さんは疑問を呈します。それにたいする佐々木さんの回答が絶妙でした。
「スポーツ記者には、ロシアワールドカップ後の男子の代表選手にも、「君はどんな料理が得意ですか?」って聞いて欲しいですよね(笑)」
笑いと拍手が会場を包み込みます。

 

和やかな雰囲気で進んだ対談の終盤。ジェンダー平等について、メッセージを求められた佐々木さんは、男性にたいしては、「論語」の「知好楽」という言葉を引き、苦しい時でも楽しく、柔らかい背中を見せてあげてください、と語ってくれました。「思い切ってチャレンジしてください。チャレンジに失敗はありませんから」という激励は、女性へのメッセージです。

 

佐々木さんご自身、なでしこジャパン監督を退いて以来、さまざまなことに挑戦されています。<大宮アルディージャ トータルアドバイザー><十文字学園女子大学 副学長><内閣府男女共同参画会議議員><なんとかしなきゃ!プロジェクト サポーター>……「どんどん新しいことにチャレンジし、自分の知見を広げて、女性が活躍できる社会の実現のために生かしていきたいと思っている」。最後にこうした決意を述べてくれた佐々木さんに、観客から万雷の拍手が贈られました。

 

国際女性デーは女性だけの記念日ではない。佐々木さんの一つ一つの言葉が、そんなことを教えてくれたように感じられたイベントでした。

 

 

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