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世界が見えるトピックス 特集

余った食材、おいしく変身! 前編 〜一般社団法人 フードサルベージ〜

「世界が見えるトピックス」では、2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals:SDGs)に注目しています。今回は、SDGs目標12「つくる責任つかう責任」、目標2「飢餓をゼロに」等に関わる「フードロス」の問題を詳しくご紹介。”冷蔵庫に余った食材、おいしく変身!”をコンセプトに、家庭のフードロス削減に取り組んでいる「一般社団法人 フードサルベージ」の代表理事 平井巧さんにインタビューし、「サルベージ・パーティ」について詳しくお伺いしました。

 

こちらの記事は、セカイプラス「MISSION17」企画第4弾とも連動。
いちろうさんとYouTuber岡奈なな子さんのコラボ動画はこちら▼
http://nantokashinakya.jp/sekaiplus/vol03_mission17/04/

 

 

―最初に、どういった経緯で「サルベージ・パーティ」や運営団体の「一般社団法人 フードサルベージ」を立ち上げたのかお伺いできますでしょうか?

もともと私は、会社を辞めて独立して以来、飲食店のプロデュースやお米屋さんのブランディング、イベントの企画等を手がけていました。その当時は、お客さんの満足度を上げるために、お店で多めに料理の仕込みをしたりしていたので、どちらかと言うと、「捨てる側」にいたような気がします。また、プライベートでも、日々の自炊で、食べ物を捨てていたことが多かったかもしれません。
―そうだったんですか。
ただ、毎回食べ物を捨てる時に、なんとなくもやもやを感じていたんです。それで、その気持ち悪さの正体を知るために、ちょくちょくと食品ロスにまつわるワークショップや大学の講義に忍び込んだりしていました。だけど、そこで話題にされているのは、非常に規模の大きな話だったり、細かい数値だったりで、聞いた直後は、「あ、これは大変な問題だな」と感じるんですけど、やっぱり「自分ごと」にはならなかったわけです。結局、自分一人でなにかやっても、大した効果がないのではないかと思ってしまって。
―なるほど。
そこで、僕は、自分にできることを考えたくて、まずは意見交換をするために、友人数十人に声をかけ、渋谷でイベントを開催してみたんです。2013年の7月のことでした。その頃は、まだ名前もつけていなかったのですが、それがサルベージ・パーティの生まれるきっかけとなりました。家で余ったものをみんなで持ち寄り、友達のシェフに、その場でライブクッキングをしてもらって、完成した料理を食べるという会です。もともと僕はその一回切りで終えるつもりだったんですけど、思いのほか楽しかった(笑)。食材の意外な使い方が見えたり、シェフの頭の中がちょっと覗けたり……。それで、2回、3回と繰り返していくうちに、今度は真似をしてくださる人が出てきて。さらに、個人や企業、自治体からの問い合わせも増えてきた。そうしたなかで、イベントを「サルベージ・パーティ」と名付け、ホームページを作り、事務局を立ち上げて、だんだんと組織化していったという流れです。それから、2016年に社団法人「フードサルベージ」を創立しました。メンバーは僕を含めて3人ですが、いろいろな立場で関わってくれている仲間が10名程度います。

―組織ありきというよりは、自然に大きくなっていったという感じなんですね。サルベージ・パーティには、どんな食材が集まるのでしょう?

最初のうちは、「家庭の余り物」という条件以外、一切ルールを設けていなかったのですが、続けていくうちに、イベントとして楽しむためには、ちょっとした縛りがあったほうが面白いのではないかと思ったのと、料理が成り立つためには、ある程度の調整が必要だと感じました。いまだにそうなんですけど、肉や魚は目的買いをするので集まりにくく、缶詰や乾物は集まりやすいという統計がとれています。だから、内容や規模によって、肉や魚は主催側で用意しておいた方が、料理にボリュームがつけられるなとか考えたり。もちろん、本当にガチンコで集まったものだけで料理をするというパターンもあります。いずれにせよ、20〜30人の参加者が持ち寄ったものをシェフが調理して、みんなで食べるという形が基本スタイルです。
―さきほど、平井さんご自身が「自分ごと化」するのが難しかったというお話がありましたが、サルベージ・パーティを主催するにあたって意識していることはありますか?
たくさんありますが、たとえば、パーティの時間中は、フードロスや食品ロスについての話はしないように意識しています。初期の頃は、「日本では年間600万トン以上の食品が捨てられていて、そのうちの半分が家庭から生まれている」といった情報をスライドやパネルを使って解説していたんです。だけど、やっぱり話の最中は真剣に聞いてくださっていても、イベントが終わる頃には忘れられてしまうことが多いように感じられて。それよりもむしろ、自分が持ってきた余りもののソーメンが、プロの手によって何に変身するのかといった期待感や、隣の人との会話、あるいは、料理が単純に美味しかったということの方が印象に残ります。そこから、参加者のみなさんが、ご自身のライフスタイルに合わせて無理なくできることを発見してもらえたらいいなと願っています。結局、家庭で生まれるフードロスは、台所に立つお父さんやお母さんが頑張らなければいけない問題で、しかも、誰にも褒めてもらえないなかでモチベーションを維持しながらやることになるので、自発的な動機付けが必要だと思うんです。
―参加者の反応はいかがですか?
食品ロスにたいする意識が変化するきっかけになったという声をたくさんいただいています。イベント内で、たとえば、サルパ※に人参を持ってきた参加者がいたとしたら、「どうして人参が家で余ってしまっていたのか?」を振り返ってもらう時間を設けているんです。普段あまりそういうことを考える機会ってないでしょう。もしかしたら、人参は一本しか必要なかったのに、スーパーで3本入りが売っていたから仕方なく買ったということかもしれません。そうすると、買い物の仕方を変えるきっかけになりますよね。あと、よく聞くのは、海外のお土産でもらった調味料。そういうものをもらって使いづらかったりすると、今度は自分が人に同じようなものを贈るのは控えようといった意識が芽生えたりします。

―どうして余ったのかを考えて、行動を変えるわけですね。

そうですね。あとは、「私はシェフじゃないから余ったものを使った料理を思いつかない」とおっしゃる方も多いんですけど、サルパに遊びに来てくれる方にいつもお伝えしているのは、「レシピから卒業しよう」ということ。レシピ通りに材料を揃えて作るのももちろん、料理の基礎を学ぶ上ではものすごく大事なことです。ただ、ちょっとそこからはみ出してみることで、料理の幅が広がるんです。たとえば、ソーメンだと、みなさん茹でてからどう使おうかと考えがちなんですけど、いきなり油で揚げて、バリバリに砕いてサラダにかければ、食感を生むクルトンのような使い方ができる。そういった発想を持ち帰ってもらうことは意識しています。
―自分でサルパを開こう、という考え方もあれば、逆にホーム・パーティをサルパにしてみようという方向もありますね。
もちろんあります。たとえば、月に一回、家族で、自宅の冷蔵庫に残っているものだけで料理を作って食べてみるというやり方は、一つの理想的な形だと思います。あとは、いま、僕たちと同じようにサルパを開きたいという方にたいしては、開催のノウハウをお伝えし、暖簾分けのように、「サルベージ・プロデューサー」になっていただいています。現在、北は北海道から南は大分まで、数十人の方が活動中です。野菜ソムリエやシェフ、大学の先生といった様々な肩書きや知識を持っているサルベージ・プロデューサーの方々が、それぞれオリジナルのサルパを企画してくださってくれるおかげで、僕たちだけでは凝り固まってしまうイベントの内容に広がりが生まれています。さらに僕たちがハブとなって、それを情報共有して、より多彩なイベントができていくわけです。

 

※サルベージ・パーティ

 

 

 

 

 

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