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世界が見えるトピックス 特集

「アフガニスタンでしか感じられないことを可能な限り吸収したい」 ~JICA アフガニスタン事務所 吉武 尋史さん~

世界が見えるトピックスでは、アフガニスタンの女性たちを取り巻く過酷な環境、そしてそこから立ち上がる彼女たちの力強さを伝えるべく、井上きみどりさんによる漫画「アフガニスタンで警察官になった女性たち」を公開しました。
では、アフガニスタンという国自体は、いったいどんな場所なのでしょうか。そしてそこで働く日本人は、日々何を感じているのでしょうか。
おそらくは世界中の多くの人々に、紛争やテロといった危険なイメージを真っ先に連想させる国。しかしそこにも日本の国際協力は存在し、未来が少しずつ、つくられています。
JICAアフガニスタン事務所に駐在する、吉武尋史さんへの質問と、回答です。

 

 

雪遊びをする子どもたち

photo: Sayad Jan Sabawoon/JICA

―アフガニスタンという国、そしてそこで暮らす人々の印象について教えてください。また、赴任前と赴任後で変化したことがあれば教えてください。

山岳地帯が多く、首都カブールを含めて標高が高いため、冬はとても寒く、雪が積もる日もあります。豊富な雪解け水がそうさせるのか、アフガニスタンの作物はとても豊富で一つ一つが大きいです。果物では夏は葡萄、冬は柘榴が旬で、本当に甘くておいしいです。
赴任前にアフガニスタン人と話したことが無く、イメージが全く持てませんでしたので、赴任前と赴任後のギャップはありません。彼らの印象は、「生活がとても地味で質素で、落ち着いていて、日々を淡々と生きている」です。家に帰ったら違うのかもしれませんが。

アフガニスタン事務所のナショナルスタッフ

―アフガニスタンの人々は日本、あるいは日本人にたいしてどのようなイメージを持っているのでしょうか?

日本人と顔や背格好が似ている人が多くいますので、比較的親近感は感じてくれていると思います。一方で、日本の援助は現地のメディアで報道されることがありますが、彼らが日本の社会や文化に触れられるような機会はほとんどないことから、彼らにとっては謎の多い国かもしれません。
―アフガニスタンの人々と触れ合うなかで、彼ら彼女らから日本人が学ぶべき、見習うべきことがあれば教えてください。
私の業務を通じて最も接する機会が多いアフガニスタン人は、事務所に勤務するナショナルスタッフです。ほとんどのスタッフは、生まれた時からずっと「戦時」を生きています。中には、過去、戦闘に参加した経験のある者、難民キャンプにいた者、親類を戦争で失った者がいます。平和な時間しか知らずに生きてきた日本人は、日常生活を当たり前のものとして生きることができますが、平和な時間を知らずに生きてきたアフガン人は、いつ崩れるかわからない不安定さの上で日常生活を送っています。だからこそ、彼らの強さやしたたかさに感心することがあります。覚悟の上で生活しているからなのかなと思います。ですがそれは、見習おうと思って見習えるものではないし、戦争を体験しなければ得られないことなのなら、それを欲しいとは思いません。ただ、もし自分が彼らと同じ人生を歩んでいたら耐えられるだろうかと想像した時、彼らを心から尊敬します。

ある日の昼食

―JICAはアフガニスタンにおいてどんな支援を行っているのでしょうか。

JICAはアフガニスタンの生活に密着する3つの分野を重点三分野として、これまで支援を継続してきました。一つは農業と水です。アフガニスタンは農業国であり、この分野への支援はアフガニスタンの多くの人々の生計向上に資するものです。2つ目の分野は保健・教育です。ポリオワクチン接種、母子手帳システムの導入、教師育成などを行っています。特に母子手帳システムの導入は、妊産婦死亡率が世界でも最低ラインに位置するアフガニスタンには決定的に重要です。3つ目はインフラです。道路や空港等の交通インフラを対象として支援を行っています。内陸国であるアフガニスタンでは陸送と空輸の重要性が極めて高く、それらの整備は物流を加速させ、国全体の経済を底上げする効果が期待されます。これらに加えて、国造りに資する人財の育成に向け、上記3分野のみならず数多くの分野で研修事業や留学生の受け入れ事業を行っています。

photo: Sayad Jan Sabawoon/JICA

―アフガニスタンで行っているお仕事の内容について教えてください。

アフガニスタン事務所の施設・設備やスタッフの日々の移動に関する安全対策の仕事に携わっています。また、ガバナンスやジェンダー分野の研修事業について、アフガニスタン政府からの要望を反映したカリキュラムの作成や研修実施国のJICA事務所との調整を行っています。
―これまでの活動で、どのような成果があったと感じていらっしゃいますか?
今日勉強しただけでは翌日試験には合格しないように、国造りにはとても長い時間がかかります。ましてや、アフガニスタンのような紛争が続いている国では尚更です。世代という単位で見ていく必要があるので、私の在任中にアフガニスタンで大きく劇的な成果を目にすることは難しいかもしれません。
一方で、JICAが実施してきたプロジェクトや研修を通じて、人財は確実に育っています。井上きみどり先生に漫画で紹介いただいた、女性警察官の研修もそうです。彼女たちは研修後、地元の警察署に戻り勤務を続けます。これまで助けられなかった人を助けられるようになります。これは国全体で見れば小さな変化かもしれませんが、アフガニスタン社会にとって大きな一歩です。今後その警察官が昇進し、後輩を指導する立場や意思決定できる立場になれば、社会はがらりと変わるでしょう。その未来を作るためにJICAは今、動いています。

プロジェクトの会議風景

―アフガニスタンにおける活動で目標としていることがあれば教えてください。

一つ目は、私は安全対策を担当していますので、JICA関係者が事件に巻き込まれることなく無事に仕事を遂行できる状態を維持すること。2つ目は、担当している研修を計画通り実施し、少しでもアフガニスタンの人財育成に貢献すること。三つ目は、アフガニスタン事務所在任中に、アフガニスタンのことを可能な限り知ることです。勿論、書物や資料を通じてのアフガニスタンではありません。アフガニスタン人とのやり取りやアフガニスタンの空気、町並み、そこにいることでしか感じられないことがたくさんあると思います。それを可能な限り吸収したいです。
―最後に、アフガニスタンでの活動のなかで感じるやりがいや、喜びについて教えてください。
一日一日、テロ事件が無く、皆が無事仕事を定時まで終えられたら、ほっとします。喜びよりもほっとするというのが正直なところです。あとは、研修を修了したアフガニスタン人の参加者が直接お礼を言いに来てくれた時です。その情熱を母国でも持ち続けてほしいと願っています。

 

■JICA アフガニスタン事務所 Facebook
https://www.facebook.com/jicaafghanistan

 

 

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