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世界が見えるトピックス 特集

ユニフォームを脱いでも社会から重宝される人材になってほしい 日系研修「野球指導者の人材育成」後編~高知ファイティングドッグス 駒田徳広監督 / 北古味潤 副社長~

「日本式野球」を学ぶため、ブラジル、アルゼンチン、パラグアイの南米3カ国から5名の日系人が来日しました。迎え入れたのは、プロ野球独立リーグ・四国アイランドリーグplusの高知ファイティングドッグスです。今回の世界が見えるトピックスでは、JICA四国と高知ファイティングドッグスが協力して実施した「野球指導者の人材育成」研修をフィーチャー。駒田徳広監督と北古味潤 副社長にインタビューし、研修に込めた想いを語っていただきました。

 

 

―はじめに今回の研修がどのような経緯で実現することになったのか教えていただけますでしょうか。

北古味副社長

北古味:もともと、高知の地元に根を張った球団を運営していくなかで、私たちのもとにスポーツにまつわる様々な情報が寄せられてくる環境が生まれていました。そのなかの一つとして、「パラグアイで暮らす日系人の野球離れをなんとかしたい」というお話をいただいて。調べていくと、どうしていま南米に日系人がたくさん暮らしていて、野球を続け、広めようとしているのか、という歴史にたどり着いたんです。恥ずかしながら私はそれまで日系移民について詳しく知らなくて……。そこから、じゃあ自分たちにできることはなんだろう? と考えた結果、今回の研修につながりました。

―5名の日系人研修生と触れ合うなかで、どのような印象をお持ちになりましたか?

駒田監督

駒田:南米といえばサッカーという印象が強くて、野球はなかなかイメージしづらいかもしれません。しかし、野球の技術を熱心に吸収しようという彼らの姿勢を目の当たりにして、南米の野球の未来は明るいなと感じました。また、野球だけでなく、「日本の文化を知ろう、日本人と交流しよう」という意識も非常に高かったです。

―今回、高知の方々と来日した日系人のみなさんの交流はあったのですか?
北古味:来日メンバーのなかに父親が高知県出身の方がいたので、出身町の役場の方や議員さん、地元の方々で集まってみんなで楽しく日本語で会話しながら食事をしました。ひろめ市場という屋台が集まる屋内施設に行ったときには、たまたま隣に座った方とコミュニケーションをとったり。みなさん自然に高知に溶け込んでいましたね。
―駒田さんと北古味さんは一緒にパラグアイを訪れたことがあるんですよね。
駒田:高知県からの移民が非常に多いパラグアイは、高知そっくりで驚きました。返杯の文化といったお酒の飲み方もそのままで(笑)。地球の反対側で、日本の文化を保ち、広めているのはすごいなと実感しました。
北古味:数十時間かけてパラグアイまで飛んだのに、土佐弁が溢れていたわけです。地球半周じゃなくて、一周して戻ってきちゃったんじゃないかって(笑)。私たちは、それほど高知の文化が残っている土地が、地球の反対側に存在するということを、高知県民に広く知ってもらいたい、もらうべきだと、使命感を強くしました。
―今回の研修の大きな目的の一つとして、「日本式野球」を教えることが挙げられています。「日本式野球」とはどのようなものでしょうか?
駒田:南米の場合、サッカーを見てもわかる通り、どちらかと言えば身体能力に任せて各選手がそれぞれ個人技を磨いていくケースが多いでしょう。一方、日本だと、指導者が丁寧に「やり方」を教えていく。そこが大きく異なります。つまり、チームプレイがあって、そのなかで自分の役割をどう果たせるか、ということに重きを置き、教科書通りに教えていくのが日本式野球の文化です。僕は、一つずつ基本を教わることには非常に大きな意味があると思います。そこに彼らの身体能力の高さが加われば、さらに上達するわけですから。
―なるほど。

研修生の方々

駒田:また、今回、野球にたいする姿勢についても教えられたらなと思っています。たとえば、リードしている試合で、いくら自分はいいプレイができていなかったとしても、ふてくされていてはいけない、といったことです。チームメイトがみんなで盛り上がっていい試合をしているときに、一人でもつまらない顔をしている選手がいたら、みんながしらけてしまうでしょう。そういうことにたいして、日本人はすごく気を使うし、気を使わない選手にたいして我々は注意します。そういう部分は非常に大事。それは、チームスポーツでありながら、個人プレイが中心の野球だからこそ学べることだし、そうであるからこそ、野球は面白いんだと思います。

―そういう意味では、今回の研修は野球以外のところでも大きな意義があると思います。

駒田:そうですね。野球をとおして、立派な人間形成ができることを願っています。四国アイランドリーグの選手たちもそうですけど、NPB(日本野球機構)のリーグに行ける選手というのは数パーセント程度なんです。ほとんどの子はそこまでたどり着けない。だから僕は、彼らがユニフォームを脱いでも社会から重宝される人材になってほしい。それは、どこの国の若者でも同じです。野球が世界中で広まるとともに、そういった成果が現れてきたら、もっと嬉しいですし、今回来日した彼らには、そういう子たちを育てる指導者になってほしいと思います。

―それでは最後に改めて、この研修にかかわっていただいた感想をお願いします。
北古味:僕は、一言に「日本式野球」と言っても、時代とともに変わるし、国や地域ごとにアレンジする必要があると思うんです。その役割を担うのが、今回来日した研修生の方々。ただ、当然のことながら、今回の短期間の研修だけで十分に学べたかというと、そうではないでしょう。これが始まり。いかに継続していけるかが大切だと思っています。そしてさらに、スポーツを入り口にして生まれた南米の国々とのつながりが、長期的には、産業やビジネスといったほかの分野での交流にも波及していくといいなと期待しています。
駒田:「日本式野球」を学びたいという気持ちで来てくださったのは、やっぱり嬉しいことだし、ありがたいことだと感じています。ただ、こういった活動は一回切りでは駄目で、継続が必要だと思います。交流を続け、深めていくなかで、それぞれの国の野球文化が豊かなものになっていったら嬉しい。そのために僕自身も、高知ファイティングドッグスとしても、協力を続けていければと思っています。
―ありがとうございました。

 

 

 

 

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