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世界が見えるトピックス 学生レポーター企画

~アフリカ~見て見ぬふりはしない 矢野デイビットさんトーク&ライブレポート 札幌ドーム展望台

~アフリカ~見て見ぬふりはしない 矢野デイビットさんトーク&ライブレポート 札幌ドーム展望台

7月30日、札幌市街を一望できる札幌ドームの展望台にて、「~アフリカ~見て見ぬふりはしない」というテーマで、なんとかしなきゃ!プロジェクトメンバー 矢野デイビットさんのトーク&ライブイベントが行われました。

アフリカは、縁遠い?

アフリカは、縁遠い? 矢野さんが登場される前に、ガーナとタンザニアに駐在経験のあるJICA北海道の友成晋也次長から、今年の8月27日からケニアで開催されるアフリカの開発をテーマにした日本が主導する国際会議「TICAD Ⅵ (Tokyo International Conference on African Development )」についてお話がありました。
アフリカは近年、経済活動の向上が目覚ましく続々とビルが建設されていますが、その一方で環境が過酷な地域では、未だに多くの方々が厳しい生活を送っています。アフリカは日本から旅行に行く機会が少ないために縁遠い印象を受けますが、JICAは精力的に各国のインフラの整備や教育、経済活動の支援などの国際協力を行っています。

矢野デイビットさん登場!

矢野デイビットさん登場! 矢野さんは、登場されると同時にピアノの前で一曲歌われ、その美声で会場のお客さんたちを一気に引き込みました。北海道を訪れるのは初めてで、今回のイベントをとても楽しみにしていたそうです。
6歳でガーナから日本に来て、モデルの経験を経て現在はテレビ出演をしている矢野さん。ご自身の波乱万丈な人生が、国際交流を始めるきっかけを与えてくれたと語ります。 「国際協力って、自分とは距離があることだなって思う人も多いと思う。でも、できることならやりたいって思う人は多いんじゃない?」

波乱万丈な人生

 お父さんが日本人、お母さんがガーナ人の矢野さん。ご兄弟、両親の5人家族はガーナで生活を送っていましたが、矢野さんが6歳のとき、一家は30人ほどの銃を持った強盗に襲われました。当時はアフリカの経済が傾いていた時期。多くの外国人が狙われ、近所のドイツ人夫婦も殺されました。一家を守ってくれるはずの警察すらも、強盗たちと共謀していました。
 「親だけ殺すか」「一思いに家族全員殺すか」
 強盗が家財を全て盗んでいくのを成す術もなく見つめながらも、家族の命はなんとか無事でした。この事件の後、家族は日本へ移ることとなりました。
 しかし、日本での暮らしは簡単ではなく、矢野さん兄弟は児童養護施設に入ることとなりました。しかしそこは強いものが力を持つ弱肉強食の世界。助けてくれる大人もなく、矢野さんは差別・偏見と闘いました。
 「将来自分みたいに困っている子供がいたら、見て見ぬふりをするんじゃなくて、絶対助けてあげるような大人になるんだ」
 幼い矢野さんは、そう強く思ったそうです。

はじめてガーナに「帰る」

 バーテンダーとして働いていた20歳のとき、お客さんに「ガーナのことについて話してくれない?」と頼まれましたが、何も答えられなかった矢野さん。
「しょうがないことだけれど、もう一つのルーツについて知らないことは、お母さんの文化をリスペクトしてないってことじゃない?」
 お客さんの言葉を受けて、矢野さんは初めてガーナに帰りました。日本で辛い思いをした時、ガーナに帰ればきっと居場所があるんだ、と自分を慰めていた矢野さん。しかし、ガーナでも矢野さんは「外人」扱いを受けました。そのときから、自分はガーナ人なのか、日本人なのかと考えるのはもうやめて、まずは一人の人間として生きていこうと決めたといいます。
 そして、ガーナに流れるゆったりとした時間や、人々の心の豊かさに魅入られていきました。

Evidence

 3年後もう一度ガーナを訪れたとき、自分の人生と向き合い、今まで自分が苦しんできたこと、お父さんお母さんと離ればなれになって生活してきたことを思いました。
 どれだけその人が大切であったかという気持ちは、その人と離ればなれになって初めてわかること。
 そんな思いを込めた「Evidence」という曲を、矢野さんが歌います。その切ない歌詞に、涙しているお客さんもいらっしゃいました。

Enije(エニジェ)のはじまり

 ある日、ガーナの治安の悪い町で、矢野さんは自分の幼少期に驚くほどそっくりな物乞いの男の子と出会いました。
「育ててくれる人がいない彼は、今後の人生をどう生きていくのだろうか? 自分は彼に比べて自分の人生でいろんなことに挑戦できる。自分は彼に比べたら幸福だ」
 衝撃を受けて呆然としていた矢野さんに、日本人とガーナ人の友人達はこう言いました。
「ここではこんな子供は沢山いるよ。デイビットのせいじゃないから気にしなくていいよ」
そのとき、矢野さんには施設にいた頃の強い思いが蘇ってきました。
「ここでこの男の子を見捨てたら、過去の自分を裏切ることになる。これは、神様が自分にみせてくれた自分のミッションだ」
 こうして、それまで社会貢献に全く関心のなかった矢野さんは、自分でもできる小さなことからやっていこうと決めました。矢野さんの挑戦、そして「楽しんだことを対価にチャリティーをする」団体、Enije(エニジェ)の始まりです。

その場限りで終わらないために

 自分の人生を変えたものとして教育を考えた矢野さんは、ガーナで幼稚園を作ることにしました。しかし、ただ与えるだけの社会貢献は、その場限りで終わってしまいます。現地の方々自身に何をしたらいいか考えてもらうことが重要だと感じた矢野さんは、現地の方々と協力して運動会を開催しました。どのような支援が一番効果的かを知っているのは現地の方々だけです。支援をする、されるの関係ではなく、一緒に協力するパートナーとして活動することで、現地の方々の自尊心を養うことが必要でした。

Dream

Dream  もともと国際協力には興味が無かった矢野さん。しかし、活動をされる中で、「小さなことの積み重ねで世の中が変わる」ということを実感してきたと言います。
「自分のちょっとしたアクションにはすべてに意味があって、必ず自分の活動に勇気をもらっている人がいるのだと、自分の人生に自信が持てるような生き方をしたい」
 このイベントが、お客さんがアクションをするための大きなきっかけになるように、と締めた矢野さんは、最後に「Dream」という歌を歌います。
「夢を追い続けていたい いつか誰かの涙をぬぐう力になるように」
展望台からの札幌市街を背景に、力強いメッセージが歌われました

矢野さんからのメッセージ

Dream

 イベント終了後、「アクションを起こしたいけど勇気が出ない」、日本の学生へのエールをいただきました。
「将来何をしたいかは、学生のうちではわからないかもしれない。それを見つけるために、今自分が向き合っていること、背負っているものを一生懸命にこなしてほしい。
行動と努力は決して裏切らないから、自分からアクションのハードルを下げて、どんどんアクションをしていくことが重要だと思う」

 小さなことを積み重ねて、いつか誰かの力になれるように。
自分の夢にむかってひたむきに努力される矢野さんのように、自分にも何か出来るかなと思った時は、矢野さんのブログやEnije、「なんとかしなきゃプロジェクト」のホームページをご覧ください。
その努力は、確実にあなたの夢につながっています。

記事:学生レポーター 山部文子